画像出典:ソウル新聞
2019年9月9日午後、韓国大統領府にて長官および長官級人事任命状授与式が行われました。この日、授与式後に行われた文在寅大統領の国民メッセージを全訳してご紹介します。
全文和訳はこちらです↓↓
今日、長官4人と長官級委員長3人の任命状を授与しながら、国民にまず申し訳ないという言葉を伝えます。
今回も6人の人事について、国会から人事聴聞経過報告書の送付を受けられないまま任命することになりました。
憲法上、国会の同意を得なくとも大統領に任命権がある各省庁の長官と長官級人事に対し、国会の人事聴聞手続きを経るようにした趣旨は、大統領府の独自的な人事検証だけでは十分でない可能性があるため、国会と共にもう一度よく調べることにより、より良い人材を抜擢するためのものだと思います。
しかし、今回の人事対象者7人のうち、官僚出身で現職次官であった農食品部長官候補者1人についてのみ人事聴聞経過報告書の送付を受けただけで、外部から抜擢した候補者6人については、ついに人事聴聞経過報告書の送付を受けられませんでした。
このようなことが文在寅政府になってから繰り返されており、特に改革性が強い人事であればあるほど人事聴聞過程で困難を経験しています。 これについて大統領として大きな責任を感じるという言葉と併せ、国会の人事聴聞手続きが制度の趣旨どおり運用されておらず、国民統合と良い人材の抜擢に対する大きな障害となっていることへのもどかしさを吐露したいと思います。
曺国(チョ・グク)法務部長官の場合、疑惑提起が多く、配偶者が起訴されもし、任命の賛否を巡る激しい対立がありました。
まかり間違えば国民の分裂につながりかねない状況を見ながら、大統領として深く悩まざるを得ませんでした。
しかし私は、原則と一貫性を守ることがより重要だと考えました。人事聴聞会まで終えた、手続き的要件をすべて備えた状態において、本人が責任を負うべき明白な違法行為が確認されていないにもかかわらず、疑惑だけで任命しないなら、悪い先例となるでしょう。
大統領は、国民から選出された国政運営の責任者として、選出されたときに国民に約束した公約を出来る限り誠実に履行する責務があります。
私は、先の大統領選挙の際に権力機関の改革を最も重要な公約の一つに掲げ、その公約は国民から支持されました。
私は、大統領就任後にその公約を誠実に実践し、少なくとも大統領と権力機関が自ら行うことのできる改革においては、多くの成果があったことを国民の皆様は認めてくださるだろうと考えます。
今残された課題は、権力機関の政治的中立を保障し、国民の機関としての地位を確固たるものにすることを、政権の善意にだけ任せず法制度的に完成することです。
私は、私を補佐し、私と一緒に権力機関の改革のために邁進し、成果を見せてくれた曺国長官にその仕上げを任せたい、という抜擢理由をはっきりと明言したことがあります。
その意志が座礁してはならないと思います。この点において国民の広い理解と支持をお願いします。
家族が捜査対象となり、一部起訴までされた状況で長官に任命された場合、厳正な捜査への障害にならないか、あるいは長官として職務を遂行する上で障害になりはしないかとの懸念が多いこともよく知っています。 しかし、検察はすでに厳正な捜査意志を行動を通じて疑いの余地なくはっきりと示しました。
検察は検察がなすべきことをなし、長官は長官がなすべきことをなしていくなら、それもまた権力機関の改革と民主主義の発展を明白に示してくれるものとなるでしょう。
今回のプロセスを通じ、公平と公正の価値に対する国民の要求と平凡な国民が感じている相対的な喪失感を改めて痛感することができました。重い心です。 政府は、国民の要求を厚く尊ぶでしょう。
政府は、私たちの社会に蔓延している特権と反則、不公正を正すために努力してきました。 しかし国民の要求は、そこから更に進み、制度に内在する不公正と特権的要素まで無くしてほしいということでした。
国民を挫折させる既得権と不合理の源泉となる制度までも改革していきます。
高校序列化と大学入試の公平性など、機会の公平性を損なう制度からもう一度よく調べ、特に教育分野の改革を強力に推進していきます。