入力2019.11.04 15:30
青瓦台「両国の事前調整なかった」...文大統領、即興的に安倍首相に歓談誘う
日本語通訳も用意できず...「単独面談の可能性小さい」観測くつがえす
安倍首相、文大統領に弔意...ASEAN首脳らも文大統領を慰労
11月4日午前、ASEAN+3(韓・中・日)首脳会議を控えたタイの「ノボテルバンコクインパクト」会議場。
文在寅大統領が会議の開始前、インドネシア・ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマーの首脳などと歓談を終えた後、会議場に到着した日本の安倍晋三首相を見つけた。
日韓関係の悪化で両国首脳の出会いの場面に視線が集中する状況の中、文大統領は安倍首相に積極的に近づき、自分の隣の席に連れてきて、日韓首脳は午前8時35分から11分間の単独歓談を行った。
一部では、この日の出会いは予想が難しかった「サプライズ歓談」と評価している。
この日の歓談は事前調整が全く行われておらず、文大統領は複数の首脳が見ている前で、即興的に安倍首相を “導くように” 自分の隣の席に連れて行ったことが分かった。
コ・ミンジョン大統領府報道官はブリーフィングで「今日の歓談は事前に協議された席ではなかった。文大統領が先に首脳らの待機場所でASEAN各国の首脳と話を交わしており、その場に安倍首相が入ってくると、文大統領がしばらく座って話そうと誘いながら行われたもの」と説明した。
コ報道官は「普通、首脳会談は、議題を長期間熟成させ、両首脳があらかじめ約束して会うもので、「プルアサイド」(pull aside・略式会談)の場合にも、短い時間に会話を交わすことをあらかじめ約束するものだが、今日の席はそのような協議がなかった」とし「だから“会談”ではなく“歓談”という表現を使った」と説明した。
実際、文大統領の今回の訪問には日本語の通訳ではなく英語の通訳だけが同行、この日の両首脳の歓談は「韓国語→英語→日本語」の順に通訳しなければならなかった。
また、外交部内の日本担当幹部もソウルに残留するなど、政府でも全く予測できなかったと伝えられた。
当初、文大統領が今回のタイ訪問に出発する前にも、タイで日韓首脳の面談が実現するのは容易ではないという観測が優勢だった。
輸出規制に触発された日韓間の冷気流が劇的な変化の兆しを見せていないためだ。
同じ期間(3日〜5日)にタイを訪問するだけに対面の可能性は開かれていたが、会ったとしても偶然に短く出会い、挨拶程度にとどまるのではないかという予想が多かった。
前日のガラ晩餐会でも文大統領と安倍首相が遭遇し、笑いながら握手をしたにはしたが、挨拶だけ交わして別れる様子に、短い挨拶だけを交わした6月末の大阪での主要20カ国(G20)首脳会議での出会いを繰り返すのではないかという声もあった。
文大統領と安倍首相のこの日午前の「11分歓談」は、このような流れの中に小さな「反転」を生み出したわけだ。
ここには、対話を通じて日韓関係の解決策を探るべきだという両国首脳の考えもベースになっていたと思われる。
コ報道官は「両首脳は、日韓関係が重要だということで意見を同じくし、日韓両国関係の懸案は対話を通じて解決すべきという原則を再確認した」と説明した。
特に今月23日に日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)の終了を控える中、チリで16〜17日に開かれる予定だったアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議まで取り消されながら、今回の会議が両国首脳が対面できる最後の外交舞台だという点も、文大統領が積極的に歓談に乗り出すのに影響を与えただろうとの分析も出ている。
文大統領としては、GSOMIA終了という「変曲点」に至る前に、可能な限り外交的な解決策を見出そうとした可能性がある。
文大統領は歓談で、必要なら高位級協議を持つ案も検討してみようと話し、安倍首相も、あらゆる可能な方法によって解決策を見出せるよう努力しようと答えたと、報道官は伝えた。
「即興の出会い」ではあるが、両首脳が日韓間のもつれた糸を解(ほど)くために真剣に議論に臨んだことを見せてくれた。
コ報道官は「文大統領と安倍首相は非常に友好的で真剣な雰囲気の中で歓談を続けた」とも伝えた。
先月24日、イ・ナギョン首相が天皇即位式のために訪日した際に安倍首相と会談し、文大統領の親書を渡したことも、この日の歓談成立のための「飛び石」の役割を果たしたのかもしれない。
文大統領は当時親書で「首脳間の対話はいつも開いているという立場と、難しい懸案が克服され日韓首脳が会えればよい」という趣旨の内容を盛り込んだことが分かった。
安倍首相もまた、先月母を亡くした文大統領に弔電を送った。
安倍首相はこの日の歓談でも、文大統領に弔意を表したとコ報道官は説明した。
コ報道官はまた「文大統領は昨日と今日、ASEANのすべての国の首脳と歓談を行った。ほとんどの首脳が弔意を表し、文大統領も弔意への感謝の気持ちを伝えた」と述べた。
コ報道官は「文大統領は、ASEAN各国の首脳に釜山で開かれる韓アセアン特別首脳会議への招待の意思を表明した」と付け加えた。
honeybee@yna.co.kr、kjpark@yna.co.kr
記事出典:連合ニュース