亜州経済 入力 2019.12.16 22:06 l修正 2019.12.17 13:50
チョ・グク前法相の5親等の甥・チョさんの初公判が行われたが、検察としては困惑するような状況にぶつかった。有罪を裏付けてくれると予想していた証人たちが、法廷で検察の考えとは異なる証言をしたからだ。検察がチョ・グク一家を責め立てるために無理な起訴をしたという非難が再び強まるものと思われる。
ソウル中央地裁刑事24部(ソ・ビョンソク部長判事)は16日、特定経済加重処罰法上の横領などの容疑で起訴されたチョさんの裁判を開いた。
この日の裁判では、コリンクプライベートエクイティ(PE)のインターンであるキム某氏と投資会社WFMで企業の公示を担当していたチェ某氏が出廷して証言した。しかし、チェさんの口から出た言葉は、検察の期待とは異なり、検察がこれまで主張してきた内容とは反対の内容だった。
検察の公訴状通りなら、チョさんはWFMの経営権を行使している必要がある。しかし、この日証人として出廷したチェ某氏は「WFMの業務指示はイ某代表とキム某副社長が行い、チョさんには別途に報告しなかった」と述べた。むしろ「チョさんは決裁ラインではなかった」と証言した。
当初検察は、2017年9月頃、コリンクPEがWFMの経営権などを買収する過程で、チョさんが社債などを通じて買収資金を用意したものと見た。コリンクとWFMの実所有者がチョさんだということだ。
検察の公訴状通りなら、チョさんは、WFMの株式をヤミ金融に渡したり担保として提供する方法で資金を調達し、株式代金を返済した。また、これを隠すために、株式の大量保有状況報告を虚偽で記載した。
しかし、チョさんが決裁すら受けなかったという証言が出てきながら、チョさんがコリンクPEの実質的な所有者という検察の主張にも根本的な疑問が生じざるを得なくなった。チョさんが実の所有者でないなら、虚偽の公示を通じて資本市場を撹乱したという公訴内容も、根幹から揺らぐことになる。
この他にも、チェ氏は「実際の(株式)取得者がコリンクPEではない他の人の名義だということを検察の調査過程で知った」とし「実質的な取得者が誰なのかを知らず、ただ契約書上ではコリンクPEになっていたため、公示業務を実施した」と言及した。チョさんの有罪を立証する証人として、チェ氏の陳述信憑性にひびが入ることになる。
これに先立ち証人として出廷したキム氏に対する検察の反復質問も、論議の的になると見られる。2017年から今年9月までインターンとして業務していたキム氏の場合、事実上、チョさんの容疑に関連し、直接的な接近が不可能だったが「知らない」と回答したにもかかわらず、検察が根掘り葉掘り問い詰めたからだ。これに対し弁護人は、「知らない」という回答が出たにもかかわらず引きも切らず質問したと指摘した。
弁護人は裁判が終わった後、「(検察が意図的に証人が知り得ないチョン教授の容疑に関する内容を質問したが)記者たちに見せつけるように審問しているようだった」とし「露骨だった」と批判した。
この日の裁判では、証拠として提出されてもおらず公訴状などにも含まれていない内容が証人尋問に含まれ、弁護人側の反発を買った。また、検察が証人の証言を誘導するような質問を繰り返し、論議を呼ぶ材料を提供したりもした。
一方、裁判部はこの日、チョさんの横領および証拠隠滅教唆の容疑に関連し、チョン教授を共犯として追加する公訴状変更申請を受け入れた。
具体的には、コリンクプライベートエクイティ(コリンクPE)に投資したチョン教授とその弟チョンさんに一定の利益を保障するため、虚偽のコンサルティング契約を結んで1億5000万ウォンを支払った容疑に関連し、チョン教授姉弟を共犯として追加する内容だ。
キム・テヒョン記者taehyun13@ajunews.com
記事出典:亜州経済