パク・レヨン論説委員
入力:2019.12.23 20:51 修正:2019.12.23 20:51
検察の ”ユ・ジェス捜査” (前釜山副市長に対する監察もみ消し疑惑)は権力の頂点である大統領府を狙ったものだ。
”蔚山(ウルサン)市長事件” は大統領府の選挙介入疑惑を直撃している。
過去であれば、事件ひとつだけでも全国民の拍手喝采を浴びるに十分な捜査だ。
現実はそうではない。
むしろ冷笑と不信を受けている。なぜそうなのか。
捜査の真正さが疑われているからだ。
捜査が乱麻のように絡み合っているが、知ってみると単純だ。
チョ・グク捜査は4ヶ月目になっても遅々として進まない。
国会聴聞会の交渉過程で、あわてて捜査に突入したのが理解できないほどだ。
ユ・ジェスの件は、今年2月に訴状が受理された後、放置されていた事件だ。
チョ・グクを捕えるために再開した。
結局検察は、ユ・ジェスの件でチョ・グクへの拘束令状を請求した。
蔚山市長の件は、検察が自ら不起訴にした事件だ。
当時検察は、こんな捜査を何のためにしたのかと警察を非難するまでした。
その事件をユンソクヨルは、蔚山地検からソウル中央地検に移し、下命捜査疑惑に変身させた。やはりチョ・グクを捕えるためだ。
今検察は、ユン・ソクヨルの親衛隊が掌握している。
最高検察庁の参謀である8人の検事長のうちの一人は、MB(李明博)時代、大統領府民情首席室に勤務していた。他の一人はその席を継承した。
また、他の一人は朴槿恵政権で “オ・ビョンウ師団” として要職を継承した。
部長検事時代、彼の机の上にはオ・ビョンウと一緒に撮った写真が置かれていた。
ソウル中央地検長は、朴槿恵政府の総理室で勤務していた。
チョ・グク一家捜査を総指揮している3次長は、『PD手帳』を起訴した主任検事だった。
蔚山市長事件を指揮している2次長は、BBK特検でユン・ソクヨルと一緒に仕事した。
彼らは、MBに免罪符を与えた。
東部地検でユ・ジェス事件を捜査している次長検事は、ユン・ソクヨルが驪州(ヨジュ)支庁長だった時代、部長を務めていた側近だ。
李明博・朴槿恵政府の検察が政権にいかに服したのかは、みんな知っている。
民間人査察、龍山(ヨンサン)惨事、PD手帳、KBS社長起訴、セウォル号捜査...。
主な事件のたびに、彼らは真実をねじり、歪めた。
彼らは今、法と原則を掲げて捜査している。
内部からですら「彼らはどんな正義を話しているのか」と言う。
イム・ウンジョン検事は「そんな方式の選択的捜査と選択的正義は、司法の正義を捻じ曲げる」と言った。
ユン・ソクヨル検察は、大統領府と与党の反論にリアルタイムで対応している。
まるで野党のようだ。ブレーキをかける参謀機能は働いていない。
「捜査は結果で話す」という法諺(ほうげん)とは正反対だ。
業務日誌などの押収した証拠物は、検察だけが持っている。
その中から、一日も待ちきれないように被疑事実があふれ出す。
それ自体が政治行為だ。
たとえそれが公訴事実になったとしても、裁判に行けば、検察側の一方の主張にすぎない。
最近では、検察総長側近らの伝言があふれている。
「大統領への忠誠は変わらない」「現政権のために悪役を自任する」...。
誰が聞いたのか。生きている権力に対して刀を抜いたのなら、言う必要もない話だ。
その言葉を信じる人もいない。
人事を控え、救命運動を兼ねた二重プレーだ。
政務的思考に明るい人たちにしか出来ない行動だ。
ユン・ソクヨルは、チョ・グク捜査を正当化するために、夫人と弟、5親等の甥を拘束し、チョ・グクはバンバンはたいて別件で令状を請求した。
インディアンは雨乞いするたびに雨が降るという。
雨が降るまで雨乞いするからだ。
チョ・グク捜査は、インディアンの雨乞いと同じだ。
一家族をこれだけつついたら、誰が無事でいられるだろうか。
ユン・ソクヨルは「捜査権をもって報復するなら、それはやくざであって検事ではない」と言った。今検察は、やくざでなければインディアンだ。
ユン・ソクヨルは保守色の強い検事だ。
自ら「(過去の選挙で)ずっと1番(保守)にだけ投票した」と言った。
汝矣島(ヨイド)では、興味深い大統領候補に関する世論調査の話が流布している。
自由韓国党候補の誰を立てても、民主党候補がすべて勝利するという結果が出た。
もしかしてと思い、韓国党候補にユン・ソクヨルを立てたら、民主党候補が負ける結果が出たという。
ユン総長の任期は2021年8月(2年)までだ。
彼がその気になれば、今後、「選択的捜査」「選択的正義」はいくらでも再現できる。
今のユン総長にはそんな強大な力がある。
一回家宅捜索すれば、今日のイシューをいくらでも変えることができる。
検察総長一人によって国が揺れ動くというのは、普通ではない。
チュ・ミエ法相候補者の使命は、このような検察を正常に戻すことだ。
その第一が、人事の正常化だ。
ユン・ソクヨルをよく知る検察関係者は「ユン・ソクヨルは三国志に出てくる呂布のようだ」と言った。
呂布は、戦闘では百戦百勝だったが、民心を得られずに戦争で負けた。
捕われた呂布は「縄がきつい。ちょっと緩めてくれ」と言った。
曹操は「悪党は、きつく縛らねばならん」と一蹴した。
記事出典:京郷新聞