[第1回公判] 検察「実体的な真実が明らかになるよう願う」 - 情景芯弁護人「検察の主張に根拠はない」
20.01.2214:46l 最終更新20.01.2214:46l ソン・デシク(sundaisik)
裁判長であるソン・イングォン部長判事が裁判中、国語辞典を引いた。ソン・イングォン部長判事は「私は国語辞典を見ていますが、“捺印” とは印鑑を押すことです」と述べた。彼がそう言った理由は、検察が情景芯(チョン・ギョンシム)東洋大学教授が行ったとされる東洋大学総長名義の表彰状の偽造方法をめぐり「総長の職印を任意捺印」および「ファイル偽造」を同時に主張しているからだ。
検察は、昨年9月6日に東洋大学表彰状の偽造容疑でチョン・ギョンシム教授を裁判に渡しながら、チョン教授が東洋大学総長の職印を任意に捺印して表彰状を偽造したと発表した。しかし検察は、11月11日にチョン教授に14の容疑(不正入試・私募ファンド不正・証拠捏造)を適用して裁判に渡したときは、ファイル偽造の方法で表彰状を偽造したと主張した。
ソウル中央地方検察庁のコ・ヒョングォン腐敗防止2部長は、ソン・イングォン部長判事に、捺印とファイル偽造を同じ意味で使用したものだと説明したが、ソン部長判事は「国語辞典的な意味から出発しないわけにはいかない」と反論した。
22日、ソウル中央地裁刑事25部の審理でチョン・ギョンシム東洋大学教授の初公判が行われた。先の5回の公判準備期日では検察と裁判部が感情的に衝突したが、この日の公判ではそのような様子は見られなかった。検察は裁判部を相手にじっくりと公訴事実の要旨を説明し、チョン・ギョンシム教授の弁護人は検察の主張に反論した。
チョン・ギョンシム教授は昨年10月24日に拘束された後、初めて裁判に姿を現した。彼女は囚衣ではなく普段着を着て裁判に出廷した。裁判中に紙にメモをとったり、弁護人と意見を交わした。
検事と弁護人の攻防
検察は、不正入試、私募ファンド不正、証拠捏造などの公訴事実の内容を説明した。カン・イルミン検事は、チョン・ギョンシム教授に対する捜査着手の正当性を強調しもした。
「2019年8月19日に最初の告発状を受理した後、多くの告発状が検察に受理された。告発状などが本事件に対する捜査のはじまりだった。そればかりか、8月9日に被告の夫であるチョ・グク教授が法相候補者に指名された後、26日に検察の家宅捜索が行われるまで半月以上にわたり、2万件以上のマスコミ報道があり、(そこで)提起された複数の不正疑惑もまた、この事件の捜査の手がかりになった。また、数多くの市民団体と学生たちによる捜査を促す集会があり、教授、弁護士などの時局宣言が続いた。このような事情を総合してみたとき、真相究明をこれ以上遅らせることができなかったため、検察が捜査に踏み切ったものだ。」
検察は、公訴事実説明の末尾でも、合法的な手続きを遵守して捜査を進めたことを強調した。カン・イルミン検事の言葉だ。
「本事件の公訴事実のうち、どの一画も証拠によって立証されなかった部分はない。本事件に対する国民の関心、社会的重要性などをよく知っている検察は、本事件の証拠収集当時、合法的な手続きの遵守を常に念頭に置いた。したがって、証拠能力についても特に問題となる点はないだろう。今後検察は、本法廷における証人尋問と書証調査を通じ、検察が合法的に収集したすべての証拠を裁判部に提示しようと思う。その結果、本裁判の最後に本事件の実体的な真実がはっきりと明らかになることを願う。」
一方、チョン・ギョンシム教授の弁護人は、検察の公訴事実を否認した。キム・チルジュン弁護士は、“チョン・ギョンシム教授がソウル市方背洞の自宅で東洋大学総長名の表彰状を偽造した” という検察の主張に反論した。
「検察公訴状の大前提は、(チョン・ギョンシム教授が)ソウルにある自宅にて、パソコンを利用してそのような(偽造)ファイルを作成し、表彰状を出力したというものだ。ソウル自宅のパソコンにおいて犯罪行為があったという検事の主張は、全く根拠がない。当時、被告はソウルに居たが、証拠が出てきたというパソコンは栄州市にある東洋大学で使用されていた。」
キム・チルジュン弁護士は、捜査過程の問題を指摘しもした。
「(検察は)通常の手続きとは関係のない圧倒的な捜査力を持って、本当に虱潰しのように捜査した。被告と家族の過去15年間の人生を、まるでCCTVを設置して覗くように捜査した。(チョン・ギョンシム教授の娘、チョ・ミンさんの)自己紹介書を覗きながら、事実と異なる点がないかどうか、虱潰しに抜き出した。」
キム弁護士は続いて「(インターン確認書などの内容に関連し)無かった事実を創出したものではない。ただ、ディテールにおいて一部、誇張されたものはある」とし「法理的、社会的に法廷で争うべき違法性の問題ではないという点を一貫して主張した」と強調した。
出典:オーマイニュース