--キム・ジュデ(文人画家・詩人)facebookより引用--
<割合いに人を鋭敏に感じる一人の人間として話す話>
チョ・グク前法相に会って一杯やった。生きることは死ぬことだという境地をこの人、この家族と同じように味わい、忍んでいる人がこの国に何人いるだろうかと思った。普通の人をなんなく人格殺害する社会だが、有名人を人格殺害するのは一層容易なことで、強大な国家権力を利己的に活用して人格殺害することは、冷めた粥を食べるのと同じくらいたやすく、しかも醜悪で卑劣なマスコミまで加勢して人を殺すことなど、すっかり消化された粥を食べるのと変わらない。チョ・グクはげっそりとやつれていた。テレビで見たその人は爽やかで長身のハンサムな男だったが、そうではなかった。顔色が悪かった。回復中らしかったので幸いと思ったが...。
なぜこの話をあえてしたかと言うと、チョ・グクをもうそっとしておいて欲しいという、人間としての人間的な思いからだ。国家共同体の最高機関である大統領も立ち入らないでいる人に、一介の検察なぞがとめどなくとめどなく手出ししている。家族全員を人質にして、血が流れる傷に数百回、数千回も刃を刺し入れている。これは人が行うことではない。検察は人の集団だ。人がそれではいけない。チョ・グクも死、刃のような言い方をすれば自殺を考えたと思う。何でもない、本当に何でもないあまりにも些細な事でも、マスコミに公表され、鞘を剥かれ、泥を塗られ、血を塗られれば、世の中に恥じずにはいられない。その恥辱と苦痛に黙々と耐えている人だ。親しくもなかったチン・ジュングォンなんぞが友達づらして「グキ、グキ(グクの呼び捨て)」と言って利用した挙句に裏切ったこと、裏切っていること、真実が明らかになりはしたが、大統領府の部下が自らの保身のために完全に真っ赤な嘘で陵辱したこと、子・親・家族・親戚などすべての身近な人間を(人格)殺害すること、にすべて耐えている。黙々と、また沈鬱に、単なる一人の軟弱な人間として耐えるにはあまりにも残忍な攻撃を、暗鬱に、寂しく受け入れている。どんなに小さな事でも公論化されれば謝罪し、謝罪することしかしなかった人だ。
私は彼を慰めるなんぞと言って「すべてを降ろして待て、これほどの逆境ならばいつか必ず大きく用いられるだろうが、大きく用られればまた苦痛だろうから、その考えすらも降ろして待て」という言葉しか言えなかった。彼は再び用いられるだろう。これほどの苦難を受けた人は再び用いられてこそこの社会が正常化されるのだが、煽るのはよくない。
現在の検察を私はユン・ソクヨル検察と呼ぶ。ユン・ソクヨル師団が存在する。ユン・ソクヨル師団は昔の国軍の「ハナ会」より悪質かつ利己的、さらには破廉恥な族閥だ。検察一個人の意志とは無関係で、法とも無関係に集団的体面、集団的利己主義、集団的悪をもって振る舞う者たちだ。解体されるべき存在ではなく、必ず撲滅されるべき存在だ。公捜処(高位公職者犯罪捜査処)はすでに既成事実化した。検察があがけばあがくほどますます緻密になり、完全になるのが公捜処だ。いくつかの事だけでもユン・ソクヨル検察は今や恥ずかしくて不面目な組織になった。チョ・グクとその家族に対する公訴維持がユン・ソクヨル検察の唯一の任務なら、国家エネルギーの浪費が大きすぎる無駄遣いだ。やめてくれ。(過ぎたことだが、ユン・ソクヨル検察の汚れた刃は明らかに文在寅大統領にも向けられていた。確信する。状況(証拠)があまりにも多い。)
チョ・グク、ただ一人の人間だ。学者であり善良な知識人だ。眼差しと身のこなし、話ぶりと息づかいで彼を感じることができた。二人で酒を酌み交わしながら、私は彼を失礼ながら観察してしまった。彼は極めて平凡だが頭の良い男だ。誠実な人だ。9浪してやっとこさ判検事になろうとした欲のあるユン・ソクヨルやその妻・義理の母なんぞの目つきや口調、態度とは全く異なる、普通に善良な人だ。個人的にチョ・グク教授に申し訳ないことだが、私はそれを見てしまった。
いくつかのやむを得ない理由で約束が延び延びになったが、最後まで守る人、約束を取り消すこともできない心の優しい人だ。私は彼の優しい心を狡猾に利用して、ついに彼に会ってしまった。母親が不安な気持ちで待っている家に彼を送り、私はまた何杯かの酒を呑んだ。
息子(キム・グ)が、チョ・グクに会ったら親父みたいに悪態をつけるのか聞いてみて、と言うので聞いてみた。「あの、悪態を少しでもつくことありますか?」「ああ私は悪態がつけないんです」クソ、私のように罵詈雑言を少しも言えない品のある人だ。後で時節がよくなったら悪態のつき方をちょっと教えてあげなくてはならないようだ。
マスコミも検察も統合党も正義党も、チョ・グクをそっとしておけ。裁判に誠実に臨んでおり、ある日どこかにいきなり消える人でもないのだから、そっとしておけ。一人の人をそっとしておけ。一人の人を... 人間を。
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