オーマイニュース l 入力 2019.09.28 22:54 l修正 2019.09.28 23:27
盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団の柳時敏(ユ・シミン)理事長は、曺国(チョ・グク)法務部長官を巡る論難に関連し「検察の乱と家族人質劇が進行中だ」とし「メディアの報道については、その情報がどこから出たのか、果たして信頼できるのか、ファクトなのか、他の解釈が可能ではないのかを煎じ詰めなければならない」と主張した。
ユ理事長は28日午後、盧武鉉財団慶南地域委員会が「市民学校」の一つとして慶尚南道交通文化研修院大講堂で開催した講演会において、「責任のないメディアとの闘い」というテーマで話した。
ユ理事長の講演会場前の壁には、故盧武鉉大統領が残した「大統領以後、責任のないメディアとの闘いを続けるだろう。不当な攻撃から政府を守るだろう」という文が貼られていた。
「言葉を慎まなければならない気がする」という言葉からはじめた彼は、「8月末に“チョ・グク戦争”に参加して以降、周辺がなぜ参戦したのかと言う。メディア戦争が開始されたとき、何か特別なものがあるのだろうかと思ったが、チョ長官本人ではなく、父親、母親、弟、配偶者、息子、娘が順番に出てきた」とした。
続いて「最初は何も知らないのでじっとしていたら、果てしもなく行った。だから何かしなければならないと思った。だから知らなければならないではないか。だからその時からあちこち取材しはじめた。知ってみると感じるものがあった。2009年の”畦時計報道”の状況と様相がほとんど同じで、程度はそのときよりも深刻だ」と付け加えた。
彼は「だからじっとしていたら後で後悔することになる気がした。盧大統領が攻撃されたとき、(私は)時々出てきてメディアに話したりもしたが、もたもたしているうちにあのことが起こった」とし「今回もじっとしていたら後で後悔することになるかもしれないという恐怖を感じ、参戦した」と述べた。チェ・ソンヘ東洋大総長との通話についても、彼は「取材」だったと明らかにした。
ユ・シミン理事長は、チョ・グク長官に関連しマスコミで報道された内容をスクリーンに映して説明した。スクリーンには、【中央日報】『[単独]熊洞学園パンドラの箱が開かれた...倉庫にあふれる工事帳簿』と【京郷新聞】『検察、チョ・グク5親等甥横領額のうち10億ウォン、情景芯に伝達した状況』、【SBS】『チョ・グクの妻、研究室PCに“総長職印ファイル発見”』、【ヘラルド経済】『[単独]イクソン投資者募集説明書にコリンクPE当初イクソン持分買収目標』が提示されていた。
これらのニュースを取り上げた彼は「最近、京郷新聞を止めた」とも話した。それと共に彼は「国民はメディアを信頼しないと言う。メディアと検察の信頼性がどん底まで落ちた。ところがメディアに悪い内容が出てくると信じる。奇妙だ」と話した。
彼は「ニュースが出たら情報がどこから出たのか、検察から出たものなのか、野党から出たものなのかを吟味しなければならない。そして、記者が文書と録音を入手して報道したものなのかも確認しなければならない。メディアに情報を提供した主体が誰なのかを確認しなければならない」と強調した。
続いて「そのファクトが事実である可能性がどのくらいあるのか、事実である可能性が高いなら、そのようにしかできないのかも考えなければならない。そして、解釈をどのようにするか、他の解釈の可能性はないのかもチェックしなければならない」と付け加えた。
SBSニュースについてユ理事長は「基本的に検察発の情報だ。あの情報を知っている者は検察しかない。弁護人は、検察がそれをどのように利用するかだけを見ていた。情報を提供した主体は検察でしかない。他の場所である可能性はゼロだ。これは被疑事実の公表だ」と主張した。
彼は「しかし後で確認されたことだが、情景芯(チョン・ギョンシム)教授が賞状を任意に作成し、姓名不詳の共犯者と総長職印を押したということが控訴状の内容に記載されている。総長職印が押されているのなら、総長職印のファイルは必要ないではないか」とし「これは検察の控訴状とは異なった内容であり、その情報は何の価値もないだろう」と明らかにした。
「一家族“ほこり叩き式”捜査」
検察の捜査についてユ・シミン理事長は「過去一ヶ月のプロセスを探ってみよう。
<チョ・グク戦争>、<一家族”ほこり叩き式”捜査>をどう解釈すべきなのか、なぜ起こったのか。今はピンとくる」と語った。
彼は「8月初めの指名から始まり、検察が8月末に東洋大などについて家宅捜索するまでは、情報提供の主体は野党だ。だから国会出入り記者が記事を書いた。家宅捜索後からは、法曹出入り記者に変わり、検察発の報道が出てきた」と主張した。
ユ理事長は「今回の状況は、検察とメディアが互いの必要によって絡み合い、作り出した状況だ」とし「記者が[速報]ないし[単独]をつけた記事を書くのであれば、検事や捜査官、(検察)スタッフからでも情報を入手しなければならない。すべての報道が検察の掌中に入る。ほぼすべての報道は検察発の報道だ。そこには何の脈絡もないファクトが入っている」とした。
続いて「チョ・グクは犯罪者、情景芯(チョン・ギョンシム)も犯罪者、子供たちも犯罪者という認識のもとに延々と報道が出てきた」とし「チョ・グク長官の指名説が出てから、自宅の家宅捜索と一昨日の大統領の立場表明が出てくるまで、検察がどんな手続きを踏んで来たのかを調べる必要がある」と主張した。
彼は「じっくりと考えてみた。私が検事になってみた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)総長になってみ、最高検察庁のハン・ドンフン反腐敗・強力部長になってみた。すると私でもそうするだろうと思った」と語った。
ユ理事長は「この事態は“検察の乱”であり、“ユン・ソクヨルの乱”だと表現すれば、ひどく罵られるだろう。このような報道が出れば、また自由韓国党とか正しい未来党は私に”正気でない”、”第2の車智澈(チャ・ジチョル)だ”、”脳が搬出されたのか”と言うだろう」と話した。
「明らかになった事実を見れば、ユン総長が何かを間違えている」
それと共に彼は「私のすべての話は財団とは関係なく、大統領府や共に民主党を代弁するものでもない。記者が私を民主党と絡ませて質問しないでほしい。私が話す言葉は、民主党や大統領府とは何の関係もない」とした。
続いて「私が持っているのは言葉と文字しかない。本当にチャ・ジチョルなら、私を見て罵る人たちを中央情報部に捕まえていき、逆さまに吊るしただろうし、チャ・ジチョルは私のように言葉と文章で意思疎通しなかった」とし「理屈にかなった悪口を言うべきで、チャ・ジチョルはひどすぎる」と付け加えた。
ユ理事長は「ユン・ソクヨル検察総長がどんな考えなのかは分からないが、ただ明らかになった事実のいくつかだけを見ると、ユン総長が何かを間違えていると思う」と述べた。
チョ・グク長官の自宅の家宅捜索に関連し、彼は「(チョ長官の電話に関連し)ユン総長は国会で問題になるまで知らなかったと言った。検事が捜査妨害や潜在的な圧迫を受けたなら、検察総長にすぐに報告しなければならないではないか。検察総長が知らなかったのなら、彼がでくの坊であるか、そうでなければ特捜部長が報告を受けたが、大したことではないので総長に報告しなかったことになる」と明らかにした。
続いて「検察総長は、検事が圧迫を受けたのなら自分に報告しなかったことを指摘しなければならない。部長になぜ報告しなかったのかと言うべきなのが正しい」とし「そうだとすれば、ユン総長が検察をどうやって運営しているか分からない。異常だ。検察がなぜああなのかという気がする。これが、概して“検乱”、“検事の乱”だと考える理由だ」と付け加えた。
それと共に彼は「今日の新聞を見たら、文在寅大統領が、チョ・グクと戦う検察を私と戦えとして戦線を移したという趣旨の報道があった。検察総長が大統領と真っ向勝負できる地位なのか」とした。彼は「検事らが1979年末、1980年初め、全斗煥(チョン・ドファン)の新軍部のときに持っていた心理があるようだ」とし「検事らは自分たちが国を救わなければならず、正義を打ち立てなければならないと思っている」と主張した。
続いて彼は「検事らはそれをするような集団ではない。検事は20代で試験をうまく受けて合格した人だ。救国の決断をするのに適した人ではない」とし「検事らは罪を犯しても罰を受けない集団だ」とし、いくつかの事例を挙げもした。
ユ理事長は「検察は救国の決断をしてはいけない組織だ。主観的な愛国心は素晴らしく、正義のための誇りを持つことはよい」とし「検事は犯罪を犯した人をきちんと処罰すればよい。大統領の人事権に干渉してはいけない」と述べた。
それとともにユ理事長は「ユン・ソクヨル総長は指名前、チョ・グク一家に対する内査資料に基づいて犯罪者との判断を下し、その判断に基づいて大統領府に伝えようとした。法務部長官を通じてではなく、他の人を通じて伝えようとした。もしそうでなかったなら、ユン総長が私を告発すればいい」と主張した。続いて「大統領に2経路以上で伝えようとした。大統領が報告を受け、指名した」と付け加えた。
彼は「自由韓国党が告発したから30カ所以上を家宅捜索した」とし「国会聴聞会の進行を見守り、当事者の釈明を聞いた後、疑惑が解けないのなら捜査するのが正しい。しかし検察は、長官になる前にケリをつけなければならないと思ったようだ。聴聞手続きが議論されている時点で大々的な捜査に着手した。検察は、聴聞会の前に自分たちのラインで終わらせようと考えたようだ」と推測した。
「銃刀で起こすクーデターではなく、“検権”で起こすクーデター」
ユ理事長は「検察はチョ・グク長官の息子、娘が志願したすべての学校をすべてはたいている。検察で参考人調査を受けてきた人々を取材してみると、表彰状や修了証、賞状について調査していると言う」とし「修了証を取得するには一部基準に達しないことがある。そうであるなら謝罪すれば終わることで、犯罪行為ではない」と述べた。
彼は「情景芯(チョン・ギョンシム)教授の弁護人側は、事件について何も話さないでいる。被疑者調査をするには検事が持っている手札を出さなければならない。検察が何を持っているのか。確実な手札を持つまでは召喚するのが難しい」とし「(プライベート・エクイティ・ファンドと関連し)千億でもなく10億ウォン程度だ。親戚の間の取引だ。あまりにも簡単な事件だ。ところがこれを調べるといって40人を超える検事を投入し、一ヶ月以上捜査しているが、違法行為の証拠が出ていない」と主張した。
検察のBurning Sun捜査に関連し、彼は「検察はユン某総警の捜査をしている。大統領府民情首席室の家宅捜索まで行けば、大統領に向かってチョ・グクを辞退させよと要求することだ。これが検察の乱だ」と述べた。
彼は「私が見るところ、ユン総長の立場ではチョ・グクが長官になってはいけないと判断したようだ。その基礎となった情報の真実性をどれだけ注視したのだろうか」とし「今からは検察の乱がチョ・グクを超えて大統領と対決する様相で進むのは、違憲的クーデターだ。銃刀で起こすクーデターではなく、“検権”で起こすクーデターだ」と主張した。
そして彼は「今、この状況をユン総長がどう考えているのかは分からない」とし「彼が検察総長として合理的に判断し、法に合わせて判断することを望む。正道を歩き、私たちの憲法に合うものならOKだ。総長らしくすればよい」と述べた。
捜査状況の報告に関連し、彼は「現在、ユン総長は法務部長官にこの件を報告することができない。長官が捜査対象なのだから。それなら首相に報告すればよい。他のラインを探さずに。秘線を探さずA線ですればよい」とし「首相に報告し、首相が大統領に報告すればよい」とした。
また彼は「総長は最高検察庁の部長検事に公式会議でのみ会うのだろうか。それは話にならない。頻繁に呼んで聞くこともあるし、一緒に食事することもある」とし「しかし、ユン総長がハン・ドンフン部長に公式席上でのみ会うというのは話にならない」とした。
ユン・ソクヨル総長に対し、ユ理事長は「ユン総長がこの状況を引っ張ってきた判断について疑ってみる必要がある。彼はあまりにも速く職級が上がった。信念に従って捜査していたら閑職に就き、辺地にいたところで中央地検長になり、続いて検察総長へと高速昇進した」と説明した。
続いて「中央地検長と検察総長とは非常に異なる。中央地検長が間違って判断すれば、総長や長官が正すことができる。この事件については長官がいないのだ。ユン総長が以前に経験したことのない状況だ。経験したことのない地位で経験したことのない出来事を(経験し)経験したことのない状況まで来たのだ」とし「無能を疑う人がいる。ある職場の場合、課長のときは仕事がよくできたのに、部長になると仕事ができない人がいる。より高まった地位と拡大した責任に合わせて考え、行動しなければならない」と付け加えた。
「今は危険なレベルに行っているということ」
それと共に彼は「ユン総長個人については何も判断しない。しかし、今は危険なレベルに行っているということだ。“検乱”だ」と主張した。
「今、検察を牽制することのできる装置は一つ」としたユ理事長は、「法務部長官は捜査指揮権を持つが、今は長官が関係者になったので捜査を指揮できない。大統領は、任期制である検事総長を解任できない。お手上げだ」と述べた。
続いて「このような集団(検察)が国会の聴聞手続きを無視し、大統領の人事権に挑戦する暴走をしたときは、何をもって制御できるのか。検察改革は法と制度を直せばよい。今すぐ誰が制御できるのか。この疑問を多くの人々が持っている。今日、“私がしなければならない”と考えた人々が瑞草(ソチョ)洞へ行った。大統領にできることがある。それが何かは言わない」と述べた。
それと共に彼は「検察総長の暴走、検察の暴走を制御するために、大統領が国民から付与された合法的な権限を使用しなくて済むよう、ユン・ソクヨル総長が正しく判断することを望む」とした。
質疑でユ理事長は「メディアは常に生きている権力を批判しなければならないというが、その言葉は正しい」とし「検察が振り回すクーデターに準ずるものへの批判をなぜメディアはしないのか」と語った。
そして彼は「生きている権力に対して検察が厳重に捜査し、メディアが批判することに賛成だ。どの対象が生きている権力なのかという判断は別だ」とし「2009年には新聞や放送を見るのが怖かった。当時私席で【ハンギョレ】の記者と話を交わした。「あまりにもひどいではないか」、「ほとんど人権蹂躙レベルではないか」と言ったら、その記者は「大統領には人権がない」と言った。前大統領も公人であり、公人には人権がないと言った。そうではない。人権は誰にもあり、誰からも否定されてはならない」と強調した。
続いて「生きている権力でも人権を尊重しなければならない。公職者とその配偶者、子供にも人権を認めないなら、野蛮だ。ジャーナリストは自分が活動すべき領域を混同している」と付け加えた。
それと共に彼は「今、共に民主党は一糸乱れずよく対応している。昔なら、この程度になれば一部の議員がサークルを作って声明発表をしていただろう。今は個別的に話す人はいるが、党は一糸乱れずだ」とし「メディアがこれほどの攻勢をかけたら民主党と韓国党の支持度が逆転しなければならないのに、そうなっていない」とした。
彼は「私は民主党党員ではない。民主党の大統領候補として出るのでもない」と述べた。
自由韓国党の剃髪について彼は「ナ・ギョンウォン院内代表が何か言えばニュースに全部出てくるのに、髪をなぜ剃るのか。頭を丸めるのは左派がたくさんやった。いくら話しても聞いてくれないから、異様なことをすれば人々が目を向けてくれるかと断食もし、頭を丸めたのだ」とし「しかし彼らは何が不足だといって髪を剃るのか」と批判した。
この日の講演会の場所は500席規模だったが席が足りず、多くの人々が床に座ったり立っていたりした。
ユン・ソンヒョ記者(ysh@ohmynews.com)
記事出典:オーマイニュース